あらすじ

※本作にはスケートボードのダウンヒル競技に由来する用語が登場します。 姿勢や動きは感覚として読み進められる構成です。 島にそびえる峠〈アッシュフォール・ヒル〉は、走る者を選ぶ場所だ。 風と雨と速度が、容赦なく感覚を削り取り、残るのは進むか、立ち止まるか、その選択だけ。 一本のスケートボードと共にその斜面へ身を置くリサは、島に残されたある“走りの記憶”と向き合うことになる。 それは名前として語られ、しかし言葉では説明されないものだった。 走るほどに、その正体のない気配が、感覚にまとわりついてくる。 恐怖は消えない。速度が増すほど、むしろ鮮明になる。 それでも彼女は走る。 勝つためでも、過去を断ち切るためでもない。 ただ、立ち止まらずに進んでいくために。 嵐の中、静寂を求めるように研ぎ澄まされていく感覚。 これは、恐怖を克服する物語ではない。 恐怖と共に走ることを選んだ者たちの、灰降る峠の物語だ。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2025/12/29
  • 現在の作品アッシュフォール・ヒル――静寂と風の間