あらすじ

小さな貯金箱が、静かに戸口に置かれていた。  出来は粗末で、誰かに見せるためのものではなかった。ただ、音が鳴ること――それだけで、作り手は満足していた。  やがて貯金箱は少し整えられ、善意は増え、量を持ち、形を変えていく。紙幣が入り、空気が変わり、信用は別の場所へ運ばれる。 「参考にしたい」と差し出された言葉は、悪意ではなかった。外見は立派で、よく出来ていた。ただ、中身を確かめるまでは。  作り手は責めず、問い、そして終わりを告げる。  それを確かめる役目は、もう作り手には残されていない。

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カクヨム
カクヨム2025/12/29
  • 現在の作品「余白の声」第12話「音が止んだあとで」