あらすじ
三十路を過ぎ、恋愛から距離を置いて生きてきた竹内真理は、休日に立ち寄った古びたゲームショップで奇妙な恋愛ゲームを手に入れる。
「同じ時間軸の世界線で恋してた」という不可解なタイトルに半信半疑のまま、首輪型ゲーム機を装着した真理は、意識を仮想世界へと落としていく。
そこは現実とほとんど変わらない“同じ時間軸”の世界。
そこで真理は、あまりにも自然で、あまりにも人間らしい登場人物・ユウトと出会う。彼は真理に何かを求めることも、理想を押しつけることもなく、ただ「君は君でいい」と寄り添ってくれる存在だった。
ゲームだと理解しながらも、真理は次第に彼に心を奪われていく。
ログアウトのたびに現実との落差に苦しみ、やがて「大好き」という言葉を口にしてしまう――それが、この世界では禁忌に近い言葉だと知りながら。
一ヶ月という限られた時間の中で育まれた恋は、やがて別れの瞬間を迎える。
それでも真理は知る。
たとえ仮想であっても、同じ時間を生き、同じ世界線で確かに恋をしていたのだと。
これは、交わらないはずの世界で生まれた、短くて確かな恋の記録。