あらすじ
「役立たず」と実家を追放された元令嬢リネットが流れ着いたのは、辺境の宿場町だった。
生きるために彼女が始めたのは、小さな食堂での間借り営業。
「私ができるのは、誰かのお腹を満たすことだけ」
そうして振る舞う温かいスープやサクサクのカツレツは、次第に町の人々の心と胃袋を掴んでいく。
平穏な日々が続くと思われたある日、店に現れたのはかつての幼馴染であり、今は国を救った「英雄」として名を馳せるダズだった。
あまりに遠くなった身分差に、「追放された私がいては迷惑になる」と身を引こうとするリネット。
しかし、そんな彼女の決意をよそに、英雄様はなぜか足繁く店に通い詰め、あろうことか厨房で皿洗いまで始めてしまい――!?
「お前がいなきゃ、俺の胃袋は満たされない」
美味しい匂いと湯気の向こうで紡がれる、自己評価の低い料理人と、不器用で一途な英雄の、じれったくて温かい再会と溺愛の物語。