あらすじ
作品あらすじ
名門聖女の家系に生まれながら、浄化の力を持たないエルマは「色のない子」と呼ばれ、誰からも顧みられることなく生きてきた。
そんな彼女に下されたのは、北の果てにある『氷の城』の主、ギルバート公爵への身代わり婚。
人々の精神を蝕む「灰色の雪」を一身に引き受け、心を凍らせた彼は、近づく者を拒絶する「処刑人」として恐れられていた。
生贄として城へ送られたエルマだったが、そこで彼が抱える深い孤独と、極限の痛みに気づいてしまう。
「私には浄化する力はありません。けれど、あなたの凍えた手を温めることなら」
エルマの持つ能力は、他者の痛みや穢れを我が身に移し替える『共鳴』。
彼女が自らの身を削ってギルバートの痛みに寄り添った時、凍りついていた公爵の心は溶け、不器用ながらも深い愛へと変わっていく。
互いに唯一の理解者となり、穏やかな春を迎える二人。
しかし、エルマを追放した王都では、彼女がいなくなったことで穢れが溢れ出し、破滅の時が迫っていた。
「戻ってきてくれ」と懇願するかつての家族。
けれど、愛を知ったエルマはもう、誰かの都合の良い道具には戻らない。
これは、無価値とされた少女と、孤独な怪物が互いを救い合い、やがて世界を照らす光となるまでの物語。