あらすじ
村のはずれの夜空に、ひとつだけ眠らない星があった。
少年ユイは、その星に毎晩、誰にも言えなかった出来事や気持ちを話しかけていた。やがて星は声を持ち、自分が「言葉にならなかった願い」から生まれた存在だと明かす。
ユイは星に導かれるように、欠けていく月、泣くことを忘れた雲、声をなくした風、休むことを知らない太陽など、壊れかけた空の存在たちと出会っていく。彼らは皆、やさしさを与えすぎたり、本音を隠したりした結果、世界から歪みを生んでいた。
旅の中でユイは、「大丈夫と言えないこと」「泣いていいこと」「休んでもいいこと」を学び、少しずつ空は癒やされていく。しかしやがて、願いがあふれすぎた世界は限界を迎え、星々が消え始める。
最後にユイは知る。
星たちは消えたのではなく、人の言葉として生き直すのだと。
大人になったユイは、かつて自分が星に救われたように、今度は誰かに言葉を渡す側になる。
物語は静かに終わり、やさしさは次の誰かへと受け継がれていく。
——これは、言えなかった想いが世界を照らすまでの童話小説。