あらすじ

孤児院で暮らす『少年』は、己の名を持たないまま『娼婦の子』と蔑まれて過ごしていた。母親の残した借金の返済の為、貧困層の男たちの精を発散する手伝いをすることで身銭を稼いでいる少年は、金髪碧眼で女とも見紛う己の美貌を疎んでいた。
 ある日、その身が欲情すると同時に傷が治ることに気付いた少年は、その翌日王都の神殿で行われた〝選定の儀〟で、己が聖女と呼ばれる癒しの力を持った存在であると知る。
 第三聖女として見出された少年だったが、貴族主義の蔓延る神殿では庶民であることを見下され、また誰にでも体を開く淫売であると悪評を広められ、聖女としての役割に辟易していた。
 勤めを抜け出した先で、少年は王太子率いる魔獣討伐部隊の凱旋パレードに行き合う。隊列の前に飛び出し大怪我を負った孤児の子供を助ける為に癒しの力を使った少年は、王太子より孤児を優先したことで咎められようとしていた。その時に少年を庇ったのが、魔獣討伐部隊の功労者、北方のノルデュール領の次期伯爵、レオニード・カヴェーリンであった。
 不敬罪で捕らえられるも、国に三人しかいない聖女が処罰される筈もなく、少年は魔獣討伐部隊と共に女王陛下の元へ招かれる。そこで命じられたのは、レオニードとの婚姻だった。
 ノルデュール領は魔獣の被害と赤竜の驚異に脅かされた酷寒の地である。そこでも聖女としての役割を求められ、使命を強制されるのかと思うと、少年は暗澹たる気分になった。

 新たにノルデュール領主となったレオニードは、病弱ながら有能な兄の代わりに領主の座を継ぐことに悩みを抱えていた。父から軽視されてきた言葉が呪いのように頭にこびりつき、苛立ちから少年を押し倒してしまう。しかし奔放であるという悪評とは裏腹に初心な態度から少年への評価を改める。
 そんな中、赤竜が襲来し少年は大怪我を負ってしまう。レオニードは少年の身を欲情させることで傷を治し、その過程で少年の孤独を知った。
 少年に対する想いを深める中、赤竜襲来の日は迫る。レオニードは少年を想う余り、聖女は必要ないと突き放し、戦線へと向かうのだった。

 愛を知らない聖女と孤独な辺境伯が愛を得るまでの物語。

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アルファポリス
アルファポリス2025/12/28
  • 現在の作品名無しの聖女は辺境伯に愛《なまえ》を授かる