あらすじ
「どうやらあなたは縛られている。そう、名付けるならミス・ノブレスオブリージュといったところか」
街道沿いを赤く染める血だまりの傍で、その男は跪いてこちらへ手を掲げた。そう高くも無い私の背丈よりさらに低く背を折り曲げて、ぬるりと音の聞こえてきそうなほど滑らかな所作で、血でへたり切った前髪の隙間から何らかの狂おしい感情を込めた瞳で私を見ている。
「あなたがどこまでそう居られるか知りたい。その対価で、俺を雇ってはくれませんか?」
これはお家柄と誰かの言葉に縛られ、命を狙われ続ける公爵令嬢と、そのすぐそばで命を付け狙う男の、矛盾に満ちた純愛の軌跡。