あらすじ

文化祭の朝、高校二年の神崎優斗は、クラスの謎解きラリー受付で準備をしていた。 今年から導入された校内位置記録アプリ「K-Log」。Bluetoothビーコンに反応して端末の位置を記録するシステムだ。端末を置いて移動すれば、ログ上の「自分」は置き去りになる。 企画の頭脳・白石蓮が充電を借りに来た。「すぐ返す」と言って優斗のケーブルを使い、黒いスマホを手渡してきた。文化祭の朝は細部を確認する余裕がない。優斗はろくに見ずにポケットへ滑り込ませた。 十時過ぎ、白石が体育館裏で倒れているのが発見された。死因はアナフィラキシー。重度のピーナッツアレルギーだった白石が、注意書きのある菓子パンを食べていた。 実行委員長の柊木優衣に疑いの目が向けられる。彼女が買った差し入れの袋が、情報室から持ち出されていたのだ。K-Logは白石の端末が情報室に固定されていたことを示していた。 優斗と優衣は真相を追う。袋を運んだのは、優衣を逆恨みしていた神谷航だった。だが神谷に殺意はない。優衣を「困らせたかっただけ」だ。 白石が残した手紙には、こう書かれていた。 「犯人を探すふりをする奴が動く。そいつが本当の敵だ。黙るな。今度こそ、声を出せ」 白石は全てを仕組んでいた。自分の死を罠にして、優衣を追い詰める「本当の敵」を炙り出すために。いつも黙って耐える優衣に、声を出させるために。 優衣は決意する。「黙らない」と。 そして優斗は、教室に戻って気づく。机の上で充電されていたのは、自分のスマホだった。では、朝から「自分のスマホ」だと思っていたものは何だったのか。 白石が「ほら」と手渡した黒い塊。情報室で落とした気がしたもの。K-Logが「情報室」に固定していた端末。 全てが繋がった。 教室の机の上で、僕のスマホだけが今日一日ずっと「僕」だった——白石の端末と、入れ替わったまま。

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カクヨム
カクヨム2025/12/28
  • 現在の作品ビーコンの嘘