あらすじ
都の夜は明るく、星は薄い。
魔王を退け「勇者」と讃えられた剣士アレイオスは、ある夜、星の神からひとりの少女を託される。――ルミシア・ノクティエル。人間が本当に悔い改めたのかを確かめるための「観測対象」だ。
けれど父は、私を“答え”にも“象徴”にもしなかった。
剣の腕は最上位。それでも彼は剣を抜かず、声と間合いと沈黙で、私の暮らしの境界線を守る。
噂、崇拝、利用――都の欲は私を囲い込もうとする。
私は静かに見て、迷い、少しずつ関わり始める。父の不器用な温かさに支えられながら、幼い日々は学びへ、学びは選択へと変わっていく。
星の神の裁きが迫るとき、問われるのは人間だけではない。
観測対象の私が選ぶのは、断罪か、赦しか。
そして剣を抜かない父が最後に守るものは――世界ではなく、私の未来。