あらすじ
「右手、左足、髪の毛。お前は今日から、俺の不死身の所有物だ」
かつて俺を「観測」し、死すら許さない呪いを与えた天才錬金術師の主君。
俺はあの日から、その方の冷酷で、けれど美しい「おもちゃ」として生きてきた。
だが、主君は九十九歳で寿命を全うし、俺一人を置いて逝ってしまった。
最後に「ありがとう」なんて、ふざけた言葉を遺して。
終わらせてたまるか。俺は主君の遺体を抱きしめ、禁忌の扉を蹴破った。
――三日で発狂するなら、七回ほど脳を潰して再生すればいい。
――三十日間不眠不休。俺は自分の命を燃料に、死者を呼び戻す深淵を貪り尽くした。
だが、蘇りかけた主君の指先が、最初に書き換えた術式は……。
『……醜いな、権左。お前のその不死、今すぐ治(殺)してやる』
死してなお従者を「バグ」として解体しようとする天才主君と、死ぬ気で主君を現世に繋ぎ止めたい狂信的従者。
命を懸けた、最高に歪な「蘇生(チェス)」が今、幕を開ける。