あらすじ
崩壊が始まってから長い年月が過ぎた日本。
国家は消え、代わりに学園が都市を統治する世界が残った。
生徒は兵士となり、制服のまま銃を持ち、学園同士は「国境」を挟んで戦争を続けている。
山吹りんごは、そんな学園都市のひとつに属する女子高生兵。
小柄で明るく、分隊を笑わせるムードメーカーだ。
だが彼女には、誰にも言えない異常がある。
死ぬと、少しだけ「違う自分」になって戻ってくる。
子供っぽくなったり、大人びたり――人格の位相がずれていく死に戻り。
ある日、八王子の住宅地での哨戒任務。
冗談まじりの歌、百合めいた会話、ありふれた日常。
そのすべては、見えない銃声によって断ち切られる。
敵は学園だけではなかった。
野放しにされた数千人の「オトナ」――
歪んだ保護欲と暴力を混同した存在が、夜の街を徘徊している。
分隊は奇襲を受け、ひとり、またひとりと失われていく。
逃げ延びたはずのりんごは、
その夜、オトナに捕まって殺される。
断末魔の直前、彼女の内側に声が響く。
それは命令でも予言でもない、
「まだ足りない」と告げる何か。
そして、世界は巻き戻る。
戻った先で、りんごは少し違う。
判断が冷たくなったり、逆に幼くなったりする。
仲間を救えることもあれば、
別の選択で、より惨い結末に辿り着くこともある。
死ぬたびに成長はやり直され、人格は摩耗していく。
それでも彼女は前に進む。
もう一度、あの夕暮れの八王子へ。
これは、
可愛い女子高生たちが銃を持つ物語であり、
同時に、
「大人になるとは何か」を何度も失敗する少女の戦争記録である。