あらすじ
街のどこかで静かに店を構える、記憶の骨董屋「追憶堂」。
そこは、人が抱えきれなくなった「思い出」を買い取り、整理する不思議な店。
68歳の佐藤誠司は、亡き妻・加代子への耐えがたい罪悪感に震え、その扉を叩いた。
数年間にわたる壮絶な介護の末、最愛の妻へ浴びせてしまった無残な罵声。彼女を絶望の中で死なせてしまったという「人殺し」の記憶が、毎夜ごとに彼を苛んでいた。
「捨てたいんだ。この、呪いのような記憶を」
だが、店主が引き摺り出した「査定結果」は、あまりにも不可解なものだった。
「この記憶は、完璧すぎる。まるで誰かが、最も深い愛を『罪』という名のペンキで丁寧に塗りつぶしたかのように見えませんか?」
誠司が記憶の骨董屋で、加代子が命を懸けて仕掛けた狂気じみた献身の正体を知ったとき、物語は衝撃の結末へと向かう。
最後に彼が選ぶのは、救いか、それとも──。
記憶の深淵で、究極の愛の形が問い直される。