あらすじ

崩落寸前の軒先、がらんどうの部屋。
 一人の男が瞼を上げれば、埃の匂いが冬の寒気を吸い込み、乾いている。
 視界の端、うごめく影に顔をしかめた。
 同じように床へ転がり、同じように顔をしかめ、同じようにこちらを睨んでいる。 見知らぬ服装、理解できぬ態度。
 こちらを訝しむ目つきだけが、やけに不快感を露わにする。
 投げかけられる言葉は、空気に触れて歪み、敵意をさらに鋭く尖らせる。 嫌悪を買い、侮蔑を招く。
 片や、仕立ての整った衣に身を包み、洗練された礼節で場に立つ。 片や、形に縛られぬ混沌の布に沈み、無作法に空間へ身を委ねる。 
互いを「正気を失った不審者」と断じ、平行線上で火花を散らす。 頭に居座る眩暈。不毛な押し問答。
 内臓を掻き回す二日酔いの吐き気が、二人を家具なき虚室から引きずり出す。 扉の向こう側。
 秩序と狂騒が矛盾なく共存し、異常を呼吸しつつ、平然と闊歩する。

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カクヨム
カクヨム2025/12/27
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