あらすじ
これは、世界の隙間で泣いている『透明な患者』への処方箋
医者を目指す高校生、和真の瞳には、他の人には見えないものが映る。
それは「怪異」と呼ばれる、人々の心の澱(よど)みや、行き場を失った記憶が形を成したもの。
「どこが痛むんだ?」
和真にとって、彼らは恐ろしい怪物ではない。
ただ、世界の隙間に取り残されて、誰にも気づかれずに泣いている、透明な患者たちだ。
一番近くにいる妹の結衣にさえ、この視界を信じてもらうことはできない。
それでも、和真は手書きのカルテを綴り続ける。
たとえ自分にしか見えなくても、そこに宿る想いは「本当」だと信じているから。
これは、迷子の怪異を診断し、その心の結び目をそっと解いていく、優しくて少し寂しい物語。