あらすじ
無名の画家アレックスは、モデルを雇う金もなく、古道具屋で全身鏡を探していた。
そこで出会ったのは、店の奥に隠されるように置かれた、異様なほど美しい鏡。店主の不吉な忠告と、あり得ないほど安い値段――それでもアレックスは、その鏡を自室へ持ち帰ってしまう。
鏡に映る自分は、どこか違っていた。
夜ごと、鏡の中から語りかけてくる声。現れたのは、ダミアンと名乗る、完璧な美貌の男だった。彼はアレックスの孤独も、才能への不安も、名画家だった曾祖父の影に縛られた過去も、すべてを知っている。そして囁く――「君のすべてを、僕が受け止める」。
理解者を求め続けた画家と、鏡の向こうから甘く支配する存在。
慰めはやがて依存へ、依存は逃れられない束縛へと変わっていく。
鏡はただの道具ではなく、越えてはならない境界線となり、アレックスの創作も、心も、静かに侵食していく。