あらすじ

露店の帳面を拾った夜から、ローマーの「今日」は少しずつ削られていく。町の笑い声を先に喰い、明日の元気まで奪う――先喰い霧が、路地にも宿屋にも入り込んでいた。   帳面の端に残った走り書きは、ばらばらの欠片の在り処と、集めた者だけが聴ける「六つの音」を示している。弾けないのにリュートを買ってしまったローマーは、音を鳴らせない悔しさをごまかすように、歩幅だけは速める。   道中で、ネマーニャは橋の渡り方を紙に線で描き、手順を指で示す。スビツァは湯を沸かし、怪我人の呼吸が落ち着くまで黙って手当てを続ける。ベルジャコフは酒場の椅子を逆さにして即席の舞台を作り、失敗した仲間にも拍手を止めない。

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カクヨム
カクヨム2025/12/26
  • 現在の作品弾けないリュートで明日を取り戻す