あらすじ
※本作は、かつて“世界を凍らせた愛”を描いた物語と同一世界観の短編です。
永遠の冬に沈んだヴォルフラム帝国。
若き宰相シグムントは、皇帝ヴェルトの“愛妻最優先”が生む無茶な予算と凍る執務室に追われ、冷徹な仮面の裏で限界寸前だった。
そんな彼に突撃してくるのは、三歳の皇女ヴィティ――
抱っこをせがむ小さな暴君であり、凍てつく城に咲いた奇跡の花。
さらに現れたのは、ヴィティ付き護衛騎士アストリッド。
剣の手で皇女を守りながら、宰相の疲弊にも不器用に手を伸ばす“真実”の人だ。
雪だるま作りの束の間、触れた指先に走る熱。
幼い一言が、二人の距離を乱暴に名付けてしまう――
「しぐもんと、あしゅとりっど、と、けっこん」
終わらない冬の中で、溶けないものは雪だるまか。
それとも、宰相の胸に灯る小さな春か。