あらすじ
少女漫画家であり、アンティークドールの熱狂的なコレクターである玲奈。 祖母の葬儀のため、数千万円相当のコレクションを収めた実家の「聖域」に、二重の鍵をかけて帰郷した。
しかし、そこで待っていたのは、非常識な従姉妹・真紀子と、その息子・翔太。 玲奈が不在の間、退屈した翔太は、祖父のバールを持ち出し、聖域のドアを無残に破壊。 100年の時を超えて愛されてきたビスクドールたちは、見るも無惨な破片へと成り果てていた。
「たかが人形でしょ? 1万円あげるから、フリマアプリで新しいの買いなよ」
反省の色もなく、嘲笑う真紀子。 怒りに震える玲奈は、静かにスマートフォンのシャッターを切る。
壊されたのは、ただの人形ではない。 世界的に希少な、一体数百万円を下らない「動く資産」だ。
逃げ場のない親族会議の席で、玲奈が突きつけたのは、820万円という血も凍るような鑑定書。 無知という幸福に浸っていた親子に、現実という名の地獄が牙を剥く――。