あらすじ
別に誰にそう呼ばれているでもなく、ただ自分が楽な方に楽な方に流れ流れて生きてきた童顔の男、五剣 夜恵はコミュ障である。
今日も今日とて適当に返事をし、やらされる作業を黙々とこなし、生きるだけの日銭を稼いでいた。
彼の職業は委託の配達業者、真っ黒なニャンコさんから荷物を受け取り、自分が配達するエリアを白いバンで走っていた。
そんな彼は別に生きる目的はないけれど死にたくはなく、死にたくはないけれど生きていたくはない程度の生活を送っていた。
作ろうと思えば料理も作れるが毎日毎日カップ麺と菓子パン、健康診断なんてもう数年していない。
だからだろうか、不摂生に倒れたのも当然であり、運が悪かったのはその倒れた際に普段好んで飲んでいた炭酸飲料(1,5L)のキャップ部分に丁度額の中心を打ち付け、そのまま帰らぬ人となった。
夜恵は死んでしまったのかと意識するのだが、どうにも死後の世界など胡散臭い。そもそもどうしてこう意識することが出来るのか、そんなことを考えている内に胡散臭い女が目の前に現れ、あれよあれよの内に異世界への切符を手に入れてしまった。
五剣 夜恵はコミュ障だ。
人と喋りたくもなければパーソナルスペースを侵されたくもない。
そんな彼が異世界で生き抜くために、そして安寧と安らかな死を得るために、またやりたくもない作業を黙々と行う物語である。