あらすじ
名字は「大府」、名前は「幸」。 合わせて「大不幸(ダイフコウ)」。
歩けば犬の糞を踏み、懸賞に当たれば会社が潰れる。そんな理不尽な不運を二十年以上生き抜いてきた俺は、ある日、空腹の絶頂で「唐揚げ」をイメージした瞬間に落雷に打たれて死んだ。
目覚めた異世界で、自称ガイドの存在、サティアから授かったのは……あろうことか、俺が最も嫌悪する『スピリチュアル』という名の能力。
「ワクワクすれば引き寄せられる? そんなフワフワしたオカルトで飯が食えるか!」
俺は決意した。 まずはこの呪われた名字「大府(ダイフ)」を捨て、ただの「コウ」となること。
そして、この得体の知れない力を、知性と論理によって徹底的に解体してやる、と。
名字を捨てた俺の周囲では、相変わらずトラブルが連鎖する。だが――。
頭上で看板が落ちれば、わずか数センチの「余白」が俺を救う。
酒場で絡まれれば、偶然の連鎖(ピタゴラスイッチ)が相手を自滅に追い込み、手元には金貨が転がり込む。
周囲はそれを「神がかり的な強運」と呼び、「奇跡を体現する者」と崇めるが、俺は眉をひそめてこう言い放つ。
「……勘違いするな。これは奇跡じゃない。俺が計算した『リスクヘッジ』の成果だ」
これは、世界一ネガティブな理系男子が、最悪を想定し続けることで結果的に世界の理不尽を解決してしまう、不本意な救世の物語。