あらすじ

東北の強豪シニア・上越シニア。 そこの絶対的エース・一条蒼真は、才能・実績・人望すべてを持つ完璧な存在だった。 その背後に、常に影のように付き従っていた男がいる。 二番手投手・雨宮恒一。 彼は一条を尊敬していた。 同時に、心の底から嫉妬していた。 神谷が死んだ。自殺だった。 事故として処理されたその死は、チームから「象徴」を奪う。 空いたエースナンバー。 空いたマウンド。 空いた“一条の居場所”。 雨宮は、代役になろうとはしない。 一条そのものになろうとする。 投球フォーム、間、癖、試合前のルーティン。 口調、視線、チームへの振る舞い。 一条の投球ノートを読み込み、 彼が使っていたボール、スパイク、ロッカーまで引き継ぐ。 最初は「一条に似ている」だった評価は、 次第に「まるで生き返ったようだ」に変わっていく。 主人公の投球は、異様なほどに一条を再現する。 同じ球種、同じ配球、同じ勝ち方。 だが―― 同じはずなのに、どこか狂っている。 チームは勝ち進む。 勝てば勝つほど、雨宮は“自分”を失っていく。 一条の死の理由、残されたノートの空白、 そして主人公自身が抱えていた劣等感が、 少しずつ真実を暴いていく。 やがて主人公は気づく。 自分はエースになりたいのではない。 神谷に勝ちたいのでもない。 一条として、マウンドに立ちたかったのだ。 主人公が投げる一球は、 「一条の再現」か、 それとも「一条を殺して生まれる自分」か。 エースは死んだ。 だが、 エースを殺したのは誰なのか。

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カクヨム
カクヨム2026/01/05
  • 現在の作品エースは死んだ