あらすじ
夫が事故ですべてを忘れたとき、私はこれを好機だと思った。
国一番の魔導師であり氷のように冷徹な公爵である夫。
愛のない政略結婚で、三年間も飾り物のように扱われてきた私。
だから私は、記憶のない彼に人生で初めての大きな嘘をついた。
私たちは不仲で、離婚する予定でした。
これで解放されるはずだった。
面倒な妻を厄介払いできて、彼も安堵するはずだった。
それなのに、どうして彼はそんなに熱っぽい瞳で私を捕らえるのだろう。
記憶を失った夫は、理性の箍が外れたように私を求め始めた。
冷たかった手は私を離さず、寡黙だった口は愛を囁き続ける。
嘘から始まった関係なのに、今まで知らなかった甘い毒が私を蝕んでいく。
もしも彼が記憶を取り戻したとき。
私がついた嘘は、断罪の引き金になるのか。
それとも、三年間すれ違い続けた私たちの、本当の愛の始まりになるのか。