あらすじ
もう二度と働きたくない。
ブラック企業で過労死した記憶を持つアリアにとって、婚約破棄と国外追放は願ってもない長期休暇の始まりだった。
彼女が求めたのは名誉でも復讐でもなく、一日十時間の睡眠とふかふかの枕だけ。
魔物が巣食う森でハンモックに揺られ、理想の怠惰ライフを始めるはずだった。
けれど、その森で出会ったのは隣国の若き皇帝クラウス。
極度の不眠症に苦しみ、氷の暴君と恐れられる彼は、アリアのそばにいる時だけ泥のように眠ることができた。
私のそばにいれば眠れる?
なら、最高の寝具を用意してくれれば考えます。
利害が一致した二人は、添い寝係としての奇妙な同居生活を始める。
ただ寝ているだけのアリアを、なぜか周囲は伝説の聖女だと崇め始める。
彼女の放つあくびは、荒ぶる魔物を鎮め、殺気立つ騎士たちを無力化し、国中を平和なまどろみで包み込んでいく。
本人は最強の力に無自覚なまま、皇帝に溺愛され、気づけば世界の命運を握っていた。
安眠を妨害する者は、たとえ元婚約者であろうと容赦なく夢の中へ送り込む。
果たしてアリアは、騒がしい求婚者たちを退け、究極の二度寝を手に入れることができるのか。