あらすじ
高校時代、瑞恵は川上先輩への恋に大きく傷つき、
「もう誰かを本気で好きになるのが怖い」と心を閉ざしていた。
大学入学後、彼女は小学校の同級生・一と再会する。
数学に天賦の才を持つ一と、英語が極端に苦手な一。
二人は互いに教え合い、支え合いながら距離を縮めていく。
しかし、瑞恵の家庭には父の失業とパチンコ依存という現実がのしかかる。
学費と生活費のために始めたアルバイトは過酷で、
心身ともに追い詰められた瑞恵を、一は何度も励まし続けた。
そんなある日、一から二人きりのカラオケに誘われる。
迷いながらも応じた帰り道、一は想いを告げる。
けれど瑞恵は、過去の傷が疼き、答えを拒んでしまう。
それでも一は「友達としてなら、これからも一緒にいられるよ」と言い、
二人は以前と変わらぬ友情を育てていく。
やがて瑞恵は、家庭の事情で大学を中退し、市役所で働き始める。
働いても働いてもお金は実家に吸われ、母はついに父と離婚。
そんな中、一は卒業を迎え、瑞恵はようやく気づく。
――あの時、想いに応えていればよかった、と。
勇気を振り絞って告白するが、一にはすでに恋人がいた。
それでも諦めきれない瑞恵は、一との距離を保ちながら想い続ける。
そして、すれ違いと葛藤の末に訪れた再会の日。
一は切符一枚と「これ、告白」という言葉で、
二年前に伝えられなかった想いをもう一度差し出す。
今度こそ逃げない。
瑞恵はその手を取り、二人はようやく恋人として歩き出す。