あらすじ
治療魔法が万能とされる異世界。
傷は癒え、骨は繋がり、英雄は何度でも戦場に戻される。
そんな世界に転生した主人公は、なぜか治療魔法が使えなかった。
代わりにできるのは、触れて、押して、待つだけの“地味な治療”。
だがそれは――
治療魔法では戻らなかった人間を、確かに「生きた状態」に戻してしまう。
英雄は救えず、正しいことをして村を追放され、
傭兵団では「治療=戦力」として利用されそうになり、自ら離れた。
やがて主人公は気づく。
この世界の治療は、人を救うためのものではなく、
壊れる前提で使い続けるための仕組みだということに。
英雄を量産する国家、
使い潰される若者たち、
善意で回る、壊れた世界。
主人公は革命を起こさない。
声高に否定もしない。
ただ、
壊れる前に止めるだけ。
これは、
「治さない方が正解だった」
ひとりの治療師の、静かな異世界譚。