あらすじ
大学中退、ギャンブル癖あり、投資は失敗続き。
個人事業は火の車。
五十歳を前にして、結婚どころか人生そのものが詰んでいる男・神崎恒一。
誰かを追うことも、期待することも、もうやめた。
そうやって「何も選ばない人生」を選び続けてきた彼の前に現れたのは、
年下で、仕事も生活も自立している女性・高瀬里緒だった。
だが彼は、彼女を取りに行かない。
誘わない。縛らない。未来を語らない。
それは誠実さではなく、逃げでもなく、
「誰かを必要としないことでしか生きられない男」の選択だった。
一方、里緒もまた、
必要とされない関係を“自分で選ぶ”という
奇妙な距離感に足を止める。
恋愛でも救済でもない。
ただ、動かない二人の時間だけが流れていく。
これは、
ダメな男が突然モテる話ではない。
良い女が救ってくれる話でもない。
「取りに行かない」という生き方が、
どこまで人を孤独にし、
どこから人を変えてしまうのか――
その境界線を描く、大人の恋愛小説。