あらすじ
関西の地方都市で、一匹のチワワと一羽のウサギと共に暮らす、理系大学生の櫂(カイト)と、社会人のひまり。論理ですべてを解釈しようとする櫂にとって、感情のままに笑い、時に激しく自責するひまりは、どんなスーパーコンピュータでも解析しきれない「ブラックボックス」のような存在だった。
ひまりは、数年前にくも膜下出血で急逝した母親への深い後悔を抱えていた。倒れた母親を前に動揺して救急車を呼ぶのが遅れたこと。そして脳死判定後、病室で握っていた母親の手が「死後硬直」で強く握り返された感触。彼女はそれを「自分を恨む母の怒り」だと思い込み、幸せを感じるたびに自分を罰するように生きていた。
夜中に啜り泣く彼女を救うため、櫂は自分の専門領域であるAI技術を駆使し、母親の生前のログから人格を模倣したAIを構築する。