あらすじ

炎に包まれた村に駆けつけたガレス・アッシュフォードが見つけたのは、焼け落ちた家々と、息絶えた妻リーナ、そして七歳の娘エレナの小さな亡骸だった。全てを失った男は騎士の職も名誉も捨て、辺境の村で贖罪のように隠遁する。  二十年後、老いたガレスは森で倒れていた銀髪の少女を拾い、リーナと名づけて育て始める。だが、少女の成長は異常な早さを見せ、彼の記憶は少しずつ失われていく。娘エレナの顔も声も、記憶の霧に溶けていった。 真実を探るため王都を訪れたガレスは、古文書で「記憶喰い族」という種族を知る。彼らは愛情の記憶を食べて生き、成長すると食べる必要がなくなるという。娘のように愛してきたリーナが、その種族だったのだ。家に戻り真相を問い詰めると、リーナは涙ながらに告白する――生きるため、彼の記憶を食べていたと。自らを殺してほしいと嘆く少女を、ガレスは抱きしめて言う。「お前は、俺の娘だ」。   それからの日々、彼は記憶を日記に記し、リーナは少しずつ成長を続けた。やがて美しい娘となったリーナは成人し、記憶を食べずとも生きられるようになる。その頃、盗賊が村を襲う。老体で剣を取ったガレスは村を守るが深手を負う。臨終を悟った彼は願う――自分が死んだら、すべての記憶を食べてほしいと。リーナは涙ながらにそれを受け入れた。 冬の夜、ガレスは眠るように逝った。リーナは彼の記憶をすべて食べ、騎士としての誇りも愛も生涯も、その身に受け継ぐ。  葬儀を終え、彼の剣を背負い旅立った彼女は、やがて各地で人を助ける「銀髪の騎士」と呼ばれるようになる。ある春の森で、リーナは自分と同じ種の子を拾い、かつての娘の名を与える。「エレナ」。愛と記憶はまた新しい命へと受け継がれていく。

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エブリスタ
エブリスタ2026/01/03
  • 現在の作品記憶を食べた少女