あらすじ
これはまだ、神々の存在が身近に感じられた時代の物語。
エル・ザイド国にザビア国の軍が攻め入ってきたのは、突然のことだった。
国境にほど近いイル・イギルスの城は突如のことに城を閉ざして籠城を決め込んだ。
第二王子のファーラルは少数の人数で隙をついて場内に入り込んだが、如何せん、軍勢の数に違いがあり、膠着状態が続いていた。
ある日、ザビア軍の兵が城の白の中に入り込み、兵士たちと切りあいになった。
ファーラル王子もまた、敵兵と切り結んでいた。
そこへ、知った声が彼の危機を知らせる。
声の主は、隊長イヴンの娘、ティアーラだった。
炎のような緋色の髪を持つ少女。
緋色の髪は、運命を司る女神・ラーディアと同じものだった。
彼女は補給船に乗って城の中に入り込んでいた。
一通の手紙とともに。
それはハフニ将軍からの援軍の知らせだった。
その夜、ティアーラは兵士たちに嫌みを言われるものの、逆に彼らを鼓舞した。
我らにはファーラル王子がいる。ハフニ将軍もまた駆けつけてくれる。
そして、我らは軍の中でも、屈強と言われるものたち。
負けるはずがない、と。
そこへ、ファーラル王子もまた同調し、鼓舞すると、兵たちはこぶしを突き上げてファーラル王子とティアーラの名を呼ぶのだった。
翌々日、朝日が差し染める中、エル・ザイド軍は打って出ようとしていた。
ザビア軍もまたそれを予期して、軍を整えていた。
そして、ザビア軍は城の城壁にひとりの女性が立っていることに気づく。
それは白いドレスを身にまとっており、風になびく髪は緋色。
朝日の中で輝く髪は、まるで焔をまとっているかのようだった。
まるで、運命の女神・ラーディア御方が顕現したかのように。
その手から放たれた矢は、ザビア軍の元まで届いた。
ありえないことだった。
浮足立つザビア軍を、ファーラル王子率いるエル・ザイド軍は打ち破った。
後世、イル・イギルスの戦いと呼ばれることになる戦いだった。
やがて、ティアーラはファーラル王子のもとに嫁ぎ、その髪の色は王家の色と呼ばれるようになる。
これはそんな物語……。