あらすじ
アメリカで大学生活を送っていたリオとクララは、ある出来事をきっかけに、二人そろって異世界へと転移する。
言葉も常識も通じない環境の中で、彼らは互いの存在だけを支えに、生き延びる道を探し始めた。
精霊に満ちたエルフの森は、安全で穏やかな場所だった。
だが、満たされているはずのその環境は、次第に二人の心に違和感を残す。
ここに留まれば生きられる。
それでも、このままでは何も始まらない――その感覚が、二人を森の外へと向かわせた。
旅の中で出会った剣士・伊織は、リオに現実を突きつける。
剣は目的ではなく、生き残るための選択の結果であるということ。
一方クララは、術理学院で学び、精霊と向き合う力を磨きながら、この世界の理を理解しようとする。
同じ場所から来た二人は、次第に異なる役割を担っていく。
リオは剣を携え、状況に立ち向かう立場へ。
クララは術理と対話し、世界の歪みに気づく存在へ。
やがて、学院に広がる不穏な兆しと、セリアという少女に生じた異変が、彼らの選択を試すことになる。
それは霊唱術でも魔法でも説明できない、理の外側からの侵食だった。
これは、力を得る物語ではない。
同じ世界から来た二人が、異なる責任を引き受けながら、戻れない地点へと踏み出していく――その始まりを描く物語である。