あらすじ
大正時代、横浜。
洋裁師見習いの朝霧すみれは、
花嫁衣装の着付けのため、山手の洋館を訪れる。
祝福に満ちた結婚式――
その最中、ブーケを受け取った女性と花嫁の肌に異変が起きた。
原因は、花ではない。
誰かが仕込んだ、見えない悪意。
新聞記者・小田切と共に調べを進めるすみれは、
リボンの結び目、花束の扱われ方、
そして人々の視線の奥に潜む感情に気づいていく。
浮かび上がったのは、
事故で顔に傷を負い、婚約を破棄された一人の女性。
彼女が望んだのは、命ではなく――
奪われた未来を、忘れさせないことだった。
そして事件の果て、
誰にも見せずに寄り添い続けた男が、静かに愛を告げる。
これは、
罪を裁く物語ではない。
嘘をほどき、心を縫い直す、
ハイカラ娘の優しいミステリー。