あらすじ

高校生活において、部活動選びは重要だ。  青春を謳歌するため?  全国大会を目指すため?  違う。俺、日向太陽(ひなた たいよう)の判断基準はもっと現実的で、シンプルだ。 「どうせやるなら、得(利益)がある方がいいに決まってる」  汗を流して走り込むなんてまっぴらだ。  文化部で地味な作業をするのも性に合わない。  俺が求めているのは、「楽」で「実益」がある部活。  そう、例えば――活動費で美味しいお菓子や料理が作れて、それをタダで食べられるような部活だ。 「おい太陽、お前まさか……あの噂、知らないのか?」  友人の阿蘇が青ざめた顔で止めるのも聞かず、俺は家庭科室の前まで来ていた。  噂? 『氷の女帝』がいる?  それがどうした。  いくら冷徹で怖い先輩だろうと、所詮は同じ高校生だ。  こっちが愛想良くして、素直に「美味しそうです!」と持ち上げれば、案外ちょろいもんだろう。  うまくいけば、美人な先輩の手料理を独占して、あわよくば胃袋もハートも掴んで……なんて、甘い未来予想図さえ描いていた。  そう。  俺は完全に舐めていたのだ。  「タダ飯」という餌に釣られた魚が、どんな末路を辿るのかを。  鼻歌交じりに、俺は家庭科室の引き戸に手をかけた。  ガラララ……ッ。  その瞬間、俺の視界に飛び込んできたのは、薄暗い教室。  巨大な魚の死体。  そして、返り血(に見える汚れ)一つ浴びず、鈍く光る出刃包丁を握りしめた、笑顔の凍りついた女帝の姿だった。 「……よく来たわね」  その声を聞いた瞬間、俺の本能が叫んだ。  ここは食堂じゃない。処刑場だ、と。

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カクヨム
カクヨム2026/01/03
  • 現在の作品氷の女帝と呼ばれる私ですが、脳内では彼への「好き」が暴走してサーバーダウン寸前です