あらすじ

静寂という名の処刑場……宇宙より飛来した音響生命体「ハウル」によって人類文明は壊滅した。ハウルは空間の振動を糧とし、一定以上の音を立てる存在を「ノイズ」として徹底的に排除・消滅させる。空は灰色の塵に覆われ、地表からは色が失われた。生き残った僅かな人類は、音を遮断する地下シェルターや廃墟の影で、筆談と手話を使い、息を潜めて生きる「沈黙の時代」を強いられている。  かつて日本と呼ばれた極東の荒野。20代の放浪者カリス・シラユキは、泥にまみれながら廃墟を巡り、日々の糧を奪い合う「スカベンジャー」として生きていた。彼女には二つの秘密がある。一つは、ハウルが近づくと熱を帯びる背中の謎の「痣」。もう一つは、亡き父が遺した「世界に音を取り戻す」という不可解な遺言だ。 ある日、カリスが身を寄せていた地下集落が、音の漏洩によりハウルの大規模な襲撃を受ける。壊滅する集落の中で、彼女は父の旧友から一機の記録媒体を託される。そこには、ハウルの活動を停止させる唯一の周波数――「失われた歌」のデータが隠されていた。その歌を、最北の地にそびえ立つ旧時代の巨大放送塔「スノー・ホワイト」から全世界へ発信すること。それが、人類が再び空を見上げるための唯一の希望だった。 カリスは、ハウルの執拗な追跡、そして音を「神の罰」と恐れ歌声を封じようとする狂信者集団との戦いに身を投じる。サイレンサー付きのボウガンと、音波を視覚化するゴーグルを武器に、彼女は凍てつく大地を北へと進む。それは、ただ生きるために足掻いていた一人の女性が、世界に「鼓動」を取り戻すための孤独で壮絶な進軍の記録である。

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カクヨム
カクヨム2026/01/03
  • 現在の作品沈黙の白雪 ― 静寂の果て、君の声 ―