あらすじ
特別養護老人ホームで働き続けて早20年。管理栄養士の我孫子旭(45)にとって、食事とは「映え」でも「快楽」でもなく、命を繋ぐための「技術」だった。
ある深夜、彼は自宅マンションの廊下でうずくまる若い女性を介抱する。
彼女は国民的アイドルの浦安舞。
過労とストレスで胃が荒れ果て、どんな高級弁当も喉を通らない状態だった。
「何か、食べられるものを」
「分かった。少し待っていろ」
我孫子が彼女に出したのは、ステーキでもスイーツでもない。
長年の経験と知識に裏打ちされた、消化吸収率抜群、弱った胃腸を優しく包み込む「特製たまご雑炊(介護食ノウハウ全投入)」だった。
「――おいしい。噛まなくても、身体に染みていく……」
その一杯が、孤独なアイドルの心と胃袋を完全に掴んでしまう。
これは、枯れた中年管理栄養士が、プロの技術で激務のアイドルをひたすら「癒やし」「餌付け」する、栄養満点のラブコメディ。