あらすじ
二歳の私が見上げた最後の光景は、宙を舞う大きな鏡だった。
父親が母親に投げつけた凶器。その下敷きになった私は、短い人生を終えた。
けれど、薄れゆく意識の中で私は神様に願った。
『もう一度、あのお母さんの子供になりたい。今度は、私がお母さんを守るから』
願いは叶い、私は同じ母親の元に、再び「風衣(ふうい)」として産声を上げる。
前世の記憶を糧に、今度こそ母を救うと誓った。
しかし、成長とともに鮮明だった記憶は少しずつ「激しい偏頭痛」へと姿を変え、霧の向こうへと消えていく。
気がつけば、私は父・弘武(ひろたけ)との「共依存」という呪いに縛り付けられていた。
そして小学校六年生の夜、運命を分かつ問いが母から投げかけられる。
「もしお母さんが家を出ていくって言ったら、どっちに着いてくる?」
呪いに抗えず、私が口にしてしまった絶望の回答。
「私を無理にでも連れていってくれなかった」「私を捨てたんだ」
母への歪んだ憎しみと愛着を抱えたまま、私の心は壊れ始め、中学での不登校、自傷、そして「双極性障害」の診断へと転落していく。
父の病、そして母に訪れるあまりに過酷な運命。
死を目前にした母の口から語られたのは、私が完全に忘れていた「ある記憶」だった――。
二度の人生をループしてまで求めた、母の愛。
共依存の果てに、風衣が辿り着く真実とは。