あらすじ

たった一人、部屋にいただけの少女が、 世界で最も孤独なSOSを聴いた。 十六歳の篠原結女(しのはら ゆめ)は、ひきこもり。 ネットでの誹謗中傷に心を焼かれ、現実からもデジタルからも逃げ出した彼女の唯一の世界は、天井まで無線機材が積まれた六畳半の自室「ステーション"YUME"」。人と話すことをやめた彼女は、毎夜、ヘッドフォンに耳を澄まし、ノイズの海の底に沈む、誰にも届かない“声なき声”を探していた。それは、彼女自身の魂の救済を求める、孤独な祈りだった。 ある嵐の夜、結女の受信機が、ありえない信号を捉える。 それは、意味をなさない、途切れ途切れのモールス信号――死にゆく人間の、最後の「心拍」そのものだった。 観測者でいるか、関与するか。 トラウマと使命感の狭間で葛藤した末、彼女が数年ぶりに発した人生初のコールサインは、国際的な犯罪組織“影”との、壮絶な情報戦の始まりを告げる号砲となる。 父が隠し続けた過去。数年前に謎の死を遂げた、天才的な兄が遺した最後のメッセージ。 自室から一歩も出ずに、少女は、その類稀なる「耳」と「頭脳」だけを武器に、嵐の海の絶望に立ち向かう。六畳半の部屋は、やがて国家さえも動かす、たった一つの司令室(ブリッジ)と化していく――。 これは、一人の少女が、最も小さな世界から、最も大きな奇跡を紡ぎ出す、息もつかせぬサイバー・サスペンスであり、全ての「繋がり」に疲れた魂に捧げる、感動の再生の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/01/03
  • 現在の作品『コールサインは、夜明けを待っている』