あらすじ
20年前、突如として「リア充病」と呼ばれる謎の病気が世界中で流行した。
異常な感染力と高い致死率を誇るその病は人類を滅亡寸前まで追い込み、特に男性の数を激減させた。一方で生き残った女性の一部は、地震や落雷、さらには現実に干渉するかのような、SFじみた能力を得るようになる。
しかしその能力には、致命的な制約があった。
能力を得た女性は、男性と結ばれると能力を失ってしまうのだ。
現在の世界では能力者は政府に管理され、未登録の能力者は危険視されている。
また人類存続のため、男性は社会的に優遇され、恋愛が推奨されるという、いびつな社会が形成されていた。
そんな世界で、日本に生まれた少年・朝霧悠真は、幼馴染の月城澪に恋をしていた。
子供の頃は澪の方から告白してきたはずなのに、今は悠真が何度告白しても、澪は決して首を縦に振らない。
それでも悠真が他の女の子と親しくすると、露骨に嫉妬するのだった。
悠真が通う恋高校には、「独身部」と呼ばれる未だに恋人のいない男女が集まる部活があり、今や男子部員は悠真一人だけ。
幼馴染の澪、そして半獣の少女・白音ルナと三人で、もうすぐ始まる夏休みの予定を話していたある日、街で女性が何者かに襲われている現場に遭遇する。
助けに入った悠真たちは、その女性が日本有数の財閥のお嬢様・九条陽菜であることを知る。
さらに彼女は、なぜか悠真に一目惚れし、海岸付きの別荘へと招待してくる。
別荘での肝試しや海水浴など、夏休みらしい日々を過ごす中で、悠真は次第に陽菜と打ち解けていく。
無邪気な性格と、澪への遠慮のない態度に振り回されながらも、二人の距離は少しずつ縮まっていった。
その一方で澪は、二人の様子を見て、自分よりも陽菜の方が悠真にお似合いだと感じ始める。
さらに未登録の能力者たちが動き出し、自身が狙われていることを察した澪は、悠真を巻き込まないため屋敷に籠ることを選ぶ。
そこで悠真は、澪が抱えてきた真実を知る。
彼女が強大な能力を持っていること。
その力が制御できず、過去に取り返しのつかない悲劇を生んでしまったこと。
そして、世界を元に戻す希望として、能力を失うわけにはいかない理由を。
仲間たちの力を借り、悠真は未登録の能力者を退け、澪のもとへと向かう。
能力も世界も関係ない、自分の本当の気持ちを伝えるために。
そして悠真は澪にこう告げる。
「世界が元に戻ったら、その時は君の方から告白してほしい。
それまで、俺は待つから」
能力と恋愛、そして世界の行方が交錯する中で始まる物語。
これは――
“君に月が綺麗ですね”と言わせたい少年の、ひと夏の物語である。