あらすじ
【作品説明】
『配給される幸福』は、幸福が「配給」「貸与」「拠出」として管理され、表情・脈拍・抵抗値まで数値化される都市を舞台にしたディストピア小説です。善意の語彙(推奨・支援・相談・安全)が、実際には徴収と搬送の装置として機能し、住民の生活と感情を“整える”名目で侵食していく構造を、配給局の内側から描きます。
【あらすじ】
配給局の窓口係・三枝アオイは、台帳の「空白」や無記名の小瓶、匿名の通知をきっかけに、配給の裏側へ疑念を抱く。住宅維持費や安定化補助、そして“笑顔税”のような臨時拠出で幸福残高は削られ、隣人は不足を訴えた直後に「搬送優先」で消える。整備係ヤマトは、欠損を埋めるため住民の幸福が転用されると示唆し、アオイは地下2Bで「欠損補正」システムを目撃する。ログは彼女の部屋(1203)を“供出実体”として記録し、隣室(1206)への受領と搬送の因果を暴く。監査官・白川は“支援”を提案しつつヤマトを洗い、転用管理局の三浦は弁室で徴収の設定を操作する。アオイは物理の証拠(明細、ラベル、弁ID)を集め、縄を掴めば首が締まる監査と、溺れる沈黙のあいだで「第三の手=下層」へ踏み込む決意を固めていく。