あらすじ
雪の降るクリスマスイブ、編集者の美咲はかつての思い出のカフェで、一人静かにコーヒーを飲んでいた。五年前、恋人だった達也とこの場所でよく過ごした。彼は地元に戻り、実家の会社を継ぐために別れた相手。忘れようとしても、ふと心の隙間に彼の面影がよみがえる。雪を眺めながら過ごすその時間に、偶然にも達也が店に現れる。仕事で東京に来たという彼もまた、懐かしい気持ちに引かれてこの店を訪れたのだった。五年ぶりの再会。言葉にできない驚きと懐かしさの中で、ふたりはぎこちなくも穏やかに会話を交わす。近況を語り合いながら、互いにまだ心の奥に残る想いを感じ取る。
やがて、雪景色の中で語られる本音。美咲は「達也を忘れられなかった」と告白し、達也もまた「今でも美咲を愛している」と打ち明ける。過去の別れを乗り越え、もう一度やり直したいという達也の言葉に、美咲の心は揺れながらも温かく満たされていく。遠距離でも構わない、今ならきっと乗り越えられる——そう確かめ合うように、二人は手を取り合い、雪の中を歩き出す。
白い街、冷たい風、降り積もる雪が、五年の時を包み直すように二人を覆う。約束するのは、もう二度と離れないこと。別れ際、駅で交わした視線には迷いがなく、胸の奥に灯った希望だけが残った。
雪はやがて止んだ。けれども、美咲と達也の心には、静かに降り続ける雪があった。再び出会えた奇跡が、彼らの新しい物語の始まりを告げていた。