あらすじ

盲目の楽師ミレアは、生まれつき光を見ることができない。 だがその代わりに、彼女は“音”を視て生きてきた。 人の呼吸、感情の揺れ、剣が振るわれる気配―― 世界は旋律となって、彼女の内側に描かれている。 旅の途中、ミレアは片腕を失った傭兵カインと出会う。 寡黙で、過去を語らず、ただ剣だけを頼りに生きる男。 彼は守れなかったものを抱えたまま、戦場を離れ、彷徨っていた。 二人が並んで歩き始めたのは、単なる偶然ではない。 ミレアは<世界の歌>と呼ばれる、世界の裏側で鳴る音を聴くことができる。 それは王国と教会が秘匿し、秩序のために管理しようとする力だった。 その価値を知る者たちに見出され、ミレアは逃げることになる。 彼女を追うのは、剣ではない。 音を記録し、正しさへと揃えようとする“制度”そのものだ。 守るために剣を取るカインは、次第に理解していく。 彼女を守ることが、かつて失ったものへの贖罪になるかもしれないことを。 派手な英雄譚ではない。 これは、欠けたものを抱えた二人が、 音と沈黙を頼りに進んでいく物語だ。 盲目の楽師は、<世界の歌>を聴く。 片腕の傭兵は、その歌が消えないよう剣を取る。 やがて二人は、逃げるだけでは終われない場所――王都へ向かう。 それが救いになるのか、破滅になるのかを、まだ誰も知らない。

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カクヨム
カクヨム2026/01/02
  • 現在の作品盲目の楽師は、片腕の傭兵に世界の歌を聴かせたい