あらすじ
病院船〈スクナ〉。
超法規的な国家プロジェクトとして建造されたこの船は、
災害、へき地医療、未知の感染症、紛争など、
地上の制度では間に合わない命に向かうために存在する。
そこには、明確な正解も、十分な前例もない。
船内では、診療支援AI〈HAKUTO〉と
ロボット支援手術システムが、医師の判断と手技を支える。
AIは膨大な情報から選択肢を示し、
ロボットは人の手が届かない精度と持続性を補う。
だが、最終的に「やる」と決めるのも、
その結果を引き受けるのも、人間だ。
〈スクナ〉と〈HAKUTO〉を統括するのは、
医学部を中退し、制度と法を超えて
命を救う道を探し続ける結城理久(ゆうき・りく)。
そしてこの船で、外科・救命救急医として
実際に命と向き合うのは、
〈HAKUTO〉の基礎となる論文を書いた
理久の大学時代の同級生、速水灯(はやみ・あかり)である。
さらに、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、
薬剤師、理学療法士、管理栄養士――
多職種の医療従事者たちが、この船を支えている。
この物語は、
英雄の活躍でも、制度批判でもない。
先端技術と未知の患者が交差する現場に立ち、
それでも命に向かおうとする
医療従事者たちの群像劇である。
正しさではなく、判断を。
理想ではなく、現場を。
〈スクナ〉は今日も、海の上で選択を迫られる。
※本作は全12話構成で、すでに完結まで執筆済みです。