あらすじ
世界的人気RPG『ファンクル・ロスト』。
勇者が仲間と共に魔王を討ち、世界を救う――そんな王道ファンタジーの裏側に、とある“悪役令息”が存在していた。
その名は、ルース・ヴァイオ。
三大公爵家の嫡男でありながら、呪術によって黒い髪と瞳、そして呪印を刻まれた少年。闇を忌み嫌う王国において、その姿は疑念と差別の象徴だった。
学園では孤立し、誰も信用できず、やがて魔族と手を組み、勇者に討たれる。それが、ゲーム内で定められた彼の運命だった。
――しかし、その少年がある日、前世の記憶を取り戻したことで、物語は静かに歪み始める。
転生者となったルースは、自らが“破滅する悪役”であることを理解した上で、あえて原作通りの悪役を演じる。善人として振る舞うことも、勇者に擦り寄ることもしない。彼が選んだのは、原作の枠組みを逆手に取り、合理と覚悟だけで行動することだった。
この世界には、ゲームのようなステータス表示も、都合の良い成長補正も存在しない。あるのは、努力の手応えと、積み重ねた時間だけ。
「原作通りに行動する、か……それだけでは少し、芸が無いな」
これは、正義でも復讐でもない。
世界を救う物語でも、破壊する物語でもない。
破滅が約束された悪役が原作の枠組みを逆手に取り、合理と覚悟だけで世界の運命を変えていく。
そんな物語だ。