あらすじ

日本は今、表向きは平穏を装いながらも、静かに、しかし確実に分断を深めていた。 東京だけでなく、地方都市――シャッター街が広がる港町、米軍基地を抱える地方県庁所在地、過疎と利権が絡み合う工業都市。そこでは、中央では見えない「本音の日本」が蠢いている。 右翼団体の現場活動員・**鷹宮 恒一(30)**は、行動派で短気、暴力を辞さない男だ。 彼は街宣、抗議、示威行動の裏で、団体が次第に「思想」ではなく「金」と「影響力」を優先していく現実に気づき始める。 地方都市で起きた不可解な刺殺事件をきっかけに、鷹宮は政治家、暴力団、広告代理店、ネットメディアが複雑に絡む地下水脈へと引きずり込まれていく。 一方、左翼系市民団体のオーガナイザー・**三沢 玲奈(30)**は、言葉と動員を武器に闘う女だ。 デモ、告発、SNSキャンペーン――彼女は「正義」を信じ、体制と闘っているつもりだった。 しかし地方で起きたリンチ事件、不可解な事故死、内部告発者の突然の失踪を追ううちに、自分たちの運動もまた「利用されている」可能性に直面する。 右翼と左翼。 本来、決して交わらないはずの二つの視点は、 同じ政治家 同じ企業 同じ地方都市 同じ事件 を、それぞれ全く違う物語として追っていく。 そこには、 エセ右翼、エセ左翼、 思想を商売に変えたビジネス活動家、 視聴率と再生数を煽るテレビ局とユーチューバー、 影で資金を流す外国勢力、 そして暴力を「調整弁」として使う裏社会が存在していた。 事件は連鎖し、 刺殺、リンチ、事故死は「偶然」や「衝突」として処理されていく。 だがその裏で、日本社会そのものを揺さぶる巨大な構図が、静かに完成へ近づいていた。 やがて二人は、 互いを「敵」だと信じたまま、 同じ一点へと導かれていく。 それは、 右翼でも左翼でもなく、 善でも悪でもなく、 **「日本国民が何を選ばされるのか」**という問いそのものだった。 分断の最前線で、 怒りと正義に突き動かされてきた二人は、 最後に直接対峙する。 その瞬間、 日本の未来は、誰かが決めるものではなく、 黙って見てきた“国民”自身の選択だったことが突きつけられる。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/01/02
  • 現在の作品分断の国(仮)