あらすじ
女子ボクサー・真珠洲晶、十七歳。インターハイ準優勝の実力を持ちながら、原因不明のスランプに陥っていた。
どれだけ拳を振るっても、何かが足りない。リングの上でしか「自分」になれない——その焦りが、晶を追い詰めていく。
そんな晶の前に現れたのは、黒いレースのワンピースに身を包んだ美しい人物。
初鹿野華憐。元国体王者のボクサー。網膜剥離で引退し、今はゴスロリを纏い、アクセサリーブランドを営んでいる。
「なんだこいつは」——それが晶の第一印象だった。
しかし華憐の指導は本物だった。技術だけでなく、晶の心の「檻」を見抜き、それをこじ開けようとする。
「お前は、お前だろ。男とか女とか、そんなもんで俺がお前を見てると思うか?」
華憐の言葉が、晶の中の何かを揺さぶる。
自分は何者なのか。なぜ「女」と呼ばれることが、こんなにも苦しいのか。
拳を交えるうちに、二人の距離は縮まっていく。
これは、境界を超えた愛と、本当の自分を見つける物語。