あらすじ
辺境の小さな村を守る結界術師エリシアは、戦場の焼け跡でひとりの子を拾う。名も過去も失ったその子に「リオ」と名を与え、結界の稽古を始めた――それが、すべての始まりだった。
リオの結界は“壁”ではなく“道”をつくる。人を閉じ込めず、逃がし、生かすための結界。だがその才能は、侵略軍にとっても価値がある。指揮官ヴァルドは「保護」と称して術師を管理しようと迫り、村は恐怖と合理で割れていく。
さらに、戦争の裏で“黒い霧”の災厄が迫る。結界を削り、呼吸を奪う霧には“核”があり、押し返すだけでは終わらない。村を守るため、エリシアは禁術を選ぶ――代償は、胸の支えだった「亡き英雄」の記憶。名さえ思い出せなくなった朝、それでも彼女は言う。「忘れても、師でいる」と。
師は過去の影を捨て、弟子は唯一の型で道を拓く。
“身代わり”ではなく、“唯一性”として生き直すために。
これは、守るために傷つけ合った二人が、もう一度「選び直す」物語。