あらすじ

鎌倉時代の新しい仏像彫刻を切り拓いた運慶。運慶が育った時代は、釈迦入滅から二千年の後、正法が滅び世が乱れるという末法思想が蔓延る不安な時代だった。定朝の系譜である奈良仏師、康慶の息子として生まれた運慶は、明るくもやんちゃで負けん気の強い性格。父、康慶は、運慶のあまりの素行の荒さに、荒法師たちが数多くいる興福寺堂衆に修行に出させる。しかし、逆に堂衆社会で運慶は水を得た魚のようになじむ。折しも、源平の攻防が始まろうとする頃、平重衡率いる南都攻めの軍に、南都堂衆の一員として血気盛んに長刀を持って立ち向かう。しかし、南都堂衆側は惨敗。国の宝でもある東大寺を初め、康慶一門のいた興福寺も跡形なく焼かれ、大仏や興福寺の天平仏も眼前で焼失してしまう。さらに戦乱の中で、幼い頃から親しんできた想い人ミツが傷つき、やがて死んでしまう。運慶は、自分の浅見に気づくとともに、仏の教えとは何か、仏師とは何か見つめ直さざるを得なくなる。あの巨大な東大寺大仏殿や歴史ある興福寺を、復元・再興する大事業など、平家が栄える時代では不可能に近かった。運慶は、食うあてすら定まらぬ焼け跡で、片づけの作業に励むことで希望をつなぎながら、造仏所の若棟梁として周囲の仲間の支柱となっていく。そして、かつて仏師を目指す者として仰ぎみてきた、今はない天平仏や定朝仏を越える造仏を目指すために、伊賀の山中に籠って、迷いながらも精神と造仏の鍛錬に没頭する。兵火の前後で、ものの見え方がまったく異なり、これまでにある仏像の延長では満足できない運慶を導くものは、亡くなったミツの声であり、ぬくもりであり、肢体の美しさであった。運慶は、「人間」の美しい姿、美しい心こそ仏であることを信じ、これを形造っていく。世は、隆盛栄華を極めていた平氏が滅び、源氏が台頭、宮廷から武家の治世へと転変していく。南都の復興が始まろうとする中、運慶は、鎌倉において源氏方の武将の造仏依頼を契機に、快慶ら仲間を率いて真っ先に新しい仏像の世界を切り拓いて行く。運慶の造ったみずみずしく力強い仏像は、民衆の評判を呼び、周囲に活気を取り戻していく。そして不可能とも思える東大寺再興の重責を担った重源らとともに、南都の復興を成し遂げる力になっていく。勁く新しい風が、日本に吹いた・・。

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エブリスタ
エブリスタ2017/07/14
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