あらすじ
新宿歌舞伎町のはずれ、再開発から取り残された魔窟「九龍会館」。その灼熱の屋上で、激熱の激辛味噌汁を啜る一人の男がいる。
男の名は御御御付傑(おみおつけ・すぐる)。法のバグを突き、黒を白に変える現代の錬金術師――人呼んで「法のペテン師」だ。
「この世に絶対なんてない。あるのは『解釈』と『編集(エディタブル)』だけだ」
そんな彼の事務所に舞い込んだのは、ベストセラー作家・夢野幻太郎殺害事件。被告人は狂信的なファンの青年。凶器の指紋、監視カメラの映像、そして「作家のプロット通りに殺した」という詳細すぎる自白。有罪はもはや「役満」の状態だった。
絶望的な状況下、御御御付は不敵にネクタイを締め直し、法廷を劇場へと作り変える。彼が叩きつけた驚愕の弁護ロジック――それは「記憶の著作権侵害」という、司法の常識を根底から覆す屁理屈だった。
一方、御御御付を支える新人パラリーガルの白紬(シロ)は、その驚異的な五感「絶対感覚」によって、デジタルな記録に隠された「アナログなノイズ」を嗅ぎ取っていく。
被告人が語る「熱い血の記憶」と、肉体が無意識に刻んでいた「凍えるような冷たさ」。その微細な温度差こそが、巧妙にリライトされた真実のバグを暴く鍵となる。
論理の悪魔と感覚の少女。水と油の二人が辿り着くのは、誰も予想しなかった「物語」の終焉。
書き換え可能なデータの中に、書き換え不可(リードオンリー)の「痛み」を見出す、新感覚メタ・リーガルミステリ、ここに開幕。
!第一話のバレすじ!
作家殺害の現行犯で逮捕された青年は、自らの犯行を詳細に自白する。だが弁護士・御御御付は、その記憶が「誰かに書かれた脚本(著作物)」だと見抜き、法廷で著作権侵害を主張。相棒のシロは被告人が感じた「遺体の冷たさ」と「温かい血の自白」の矛盾を看破し、真犯人の編集者が洗脳により記憶を植え付けたことを暴く。