あらすじ
「私、壁になりたい。推しカプが愛し合うのを、ただ背景として見守りたいの……!」
乙女ゲー『ルナリス・ラプソディ』に転生した女子・リア(前世:限界オタク)。 彼女が手に入れたのは、聖女の魔力でも悪役令嬢の権力でもなく、「誰からも認識されない」隠密スキル全振りのモブ少女という最高のポジションだった。
両目を長い前髪で隠し、気配を殺し、梁の上や植え込みの中から推しカプの尊いやり取りを「後方腕組み」で観測する。そんな平和でオタク的な日々を謳歌していた、はずだった。
しかし、彼女の「誠実すぎる信仰心」と「異常な隠密ムーブ」は、知らぬ間に攻略対象たちの正気を奪っていた。
「誰もいないはずの場所に、温かな眼差しを感じる。……ああ、そこにいるんだろう? 私の聖女」 「消えるなら、世界の果てまで逃げればいい。君の気配の欠片すら、僕は逃さないよ」
第一王子が、冷徹な宰相が、熱血騎士が。 本来ヒロインへ向くはずの執着の矢印が、あろうことか「認識できないはずの壁(モブ)」へ一点集中し、ゲームのシナリオは音を立てて崩壊し始める!
「やめて、今の台詞はヒロインに言うべきでしょ!? 私(壁)に跪かないで!!」
ついに王都が「消えた聖女」の捜索で大混乱に陥ったとき、リアは決断する。 「ダメだこの学校、バグってる。……よし、DLCエリア(他校)へ逃げよう」
これは、隠密を極めた無自覚超人オタクが、狂愛に染まった攻略対象たちから逃げ回りながら、聖域(推しカプ)を求めて放浪する、執着と勘違いの逃走劇。
果たして彼女は、平穏な「後方腕組み」を取り戻せるのか!?