あらすじ
20XX年、東京上空2500メートルに、空間を切り裂くような大穴が開いた。
混乱に陥る人々を尻目に、その穴からはいくつかの人影が降りて来る。
オゾン層ほどの高さから、パラシュートもなしに降り注ぐ、その人の形をしたモノは、翼もないのに空を飛び、優雅に東京の地に降り立った。
”魔族”。
自らをそう呼称する彼女を見て、誰かが”女神様だ”と呟く。
突如として異界から現れたソレに、恐怖することもなく見惚れ、釘付けられ──気が付けば、そこに居合わせた人々は跪き、信仰心すら抱き始める。
それほどに、その存在はこの世の理を超えて美しく、脳を乗っ取るかのように人間を魅了した。
魔族は、怪物だった。
ただ美しいだけでなく、その肉体は銃弾を弾くほど堅牢で、一見して細い腕は、鋼鉄をも引き裂くほどに力強い。
知能もまた人間を上回り、今しがた駒を触ったばかりの素人が、チェスの世界王者を、ルールブック片手に、たったの一戦で勝利する。
そして、その力の極めつけは、魔法という理外の能力。
魔力というエネルギーを操って、彼女らは何もない空間から武器を取り出し、炎や氷を作り出し、風を起こし水を流し、果ては時や空間をも支配した。
人間離れした体躯に、人間を超えた力を併せ持つ、魔族という存在に、人間は絶望した。
地球という狭い世界で、食物連鎖の頂点に立ち、霊長を名乗っていた人類は、目の前の存在にどうやっても敵わない。
各国首脳を集め、急遽開かれた会議は、閻魔大王から沙汰を下されるのを待つ亡者のような、お通夜じみた有様だった。
そんな人間たちの姿を見て、魔族は気を遣ったのか、あるいは嘲ったのか知らないが、威圧感を与えないよう静かに微笑み、語る。
「初めまして、人間の皆様。そうお堅くならず、これから話す私の言葉は、どうか良き隣人のものとしてお受け取りください」
もしも、魔族が侵略を選んだなら、人類に抵抗の手段は無い。
しかし、それを十分に理解しているであろう魔族の選択は、意外なものだった。
友好条約の締結。
それも、人間側の意見にほぼ完全に従うような、弱者に譲歩するものであった。
そうして、魔族の出現から、十数年。
条約締結の甲斐もあり、人間界は出稼ぎの魔族が溢れ、街中で見かけることも珍しくなくなった。
かつての憂慮もどこへやら、魔族は人間界で問題を起こそうとせず、むしろその能力を人間のため惜しみなく使ってくれるため、人類は魔族に感謝し、今やよき隣人として受け入れている。
しかし、未だにその動きを不自然と見る人間も、決して少なくはない。
魔族が、突如として人間界に現れた原因。
そして、魔族からしてみれば、社会的にも文化的にも、圧倒的な弱者であるはずの人間に、ほとんど奉仕するような形で友好的に接する、その目的。
そこには、魔族は女性しか生まれないため、有性生殖を行うためには、他種の男の子種が必要であること。
そして──彼女らは男子中学生もかくやというほど性欲が強く、更に大変なすけべであることが、深く関係していた。
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こちらの小説は、ハーメルンの方で既に連載しているものを再構成したものとなっております。もしこの小説を気に入ってくださった方は、こちらをお読みいただけると更にお楽しみいただけるかと思います。→https://syosetu.org/novel/268096/